プライスアクショントレードとは「値の決まり方」に着目するトレード方法。リアルタイムの値動きを見て、買いと売りどちらが優勢なのか判断。スキャルピングでは必須スキル。そうでなくても、根の決まり方の仕組みを認識することで、エントリーと利食いがやりやすくなる。
つまり、トレーダーなら、誰にも必要の知識。中には、プライス表示そのもの(bid(買い)とask(売り))の数字の変化だけを見てエントリーする変わり者もいる。通常は、ローソク足の動きを見る。
そこで、値の決まる過程、ローソク足そのものの仕組みについて考えてみる。
目次
注文方法の種類
市場では、「売り」と「買い」の意思表示があって、売買が成立すると、値が決まる。そのときの意思表示は、「指値注文」と「成行注文」の2つに、分けることが出来る。
指値注文
金額を提示して「いくらで買う・売る」という意思表示。メタトレーダーの画面ではbuy limit,sell limitを選んで値と数量を入れてクリックする。
成行注文
今すぐ買う・売るという意思表示。メタトレーダーでは値を入れずにbuyかsellを選んで、数量だけ入れてクリック。
相場では「指値注文」と「成行注文」がペアになって値が決まり、チャートが動く。指値と指値で約定というのは、まず無い。(値が決まらない)
分かりやすくするため、架空のストーリーで見てみよう。
ごま油相場の始まり
ある日の朝
市場でAさんがごま油を1リットルあたり150円で10リットル売りたいとします。(指値売)
Bさんはごま油をリットル100円で10リットル売りたいとします。(指値売)
そこに「ごま油10リットルくれー」(成行買)というCさんが現れました。
すると安いBさんのごま油10リットルが売れて100円の値が付きました。
ここでチャートを書くと、まだ100円という1個の点(横棒線?)です。これがこの日の始値。
昼前
ごま油を20リットル欲しいというDさんが現れました。(成行買)
Aさんの10リットルが売れて150円の値が付きました。(指値売)
Dさんはあと10リットル欲しいところ、「175円なら売ってやるよ」(指値売)という、ごま油在庫を大量に抱えたEさんが現れました。
売買成立で175円の値が付きました。
昼過ぎ
しばらく買い手がいなかったのでEさんは「もう売れないのかなー」と思ってたところ、Fさんがやって来て「75円だったら100リットルまとめて買うゾ!」と言いました。(指値買)
Dさんはとにかく今日の売上が必要だったので「いっぱい買ってくれるんなら幾らでもいいやー」(成行売)と思って、Fさんに100リットル売ってしまいました。
一気にごま油は75円に値が崩れました。
夕方
Dさんはごま油をあまりに安く売ってしまった事を後悔し、今度は売値を150円にしました。(指値売)
そして「もう売れないのかなー」と思って待ってたら、もう市場が閉まる、というギリギリで「幾らでもいいから30リッターくれー」(成行買)というGさんが現れました。
これがこの日の最後の取引で、150円の終値でした。
ローソク足
この日のごま油相場の日足を書くと、次のようになる。
ローソク足は始値と終値に挟まれた部分が実体、途中の最高値・最安値が実体からはみ出ていたら、ヒゲとして描く。
ローソク足を構成する始値・高値・安値・終値の4つの値を「4本値」と呼ぶ。
一般にインディケーターと呼ばれるものは、4本値をベースにいろいろ数値を掛け合わせて視覚的に過去の軌跡を判断しやすいように作ったもの。よってインディケーターは過去をトレスしたものであって、たとえどんなに複雑にプログラミングしても、未来予測を出来るワケではない。
2日目、ごま油高騰!
次の日、Dさんが150円でごま油を売ってたところ(指値売)、Hさんが10リットル買いに来ました。(成行買)
150円がこの日の始値。
しばらくたって、Dさんは自分の他ににごま油売を売ってる人がいないことに気付きました。「こりゃ、オレの独占市場だわ!」と思ったDさんは、値段を一気に300円に上げました。(指値売)
次々とDさんの所へごま油を買いにお客さんがやってきましたが、その日は全て300円で買ってくれました。(成行買)
ローソク足
2日目までのローソク足を描くと次のようになる。始値と終値を超える高値・安値が無かったので、ヒゲはなし。
3日目、Dさんのライバル現る
その日の朝、Dさんが昨日と同じ300円でごま油を売り出しました。(指値売)
するとIさんがやって来て、10リットル買ってくれました。(成行買)
この300円が始値。
しばらくすると、ごま油在庫を大量に抱えたJさんがやって来て、250円で売り出しました。指値売
Dさんは負けじと200円に値を変えました。指値売
この日はお客が少なかったのですが、昼過ぎになって「リッターあたり150円ならまとめて500リッター買っちゃる!」(指値買)という豪快なKさんが現れて、Jさんが売りました。(成行売)
そのまま夕方になってしまい、終値は150円。
ローソク足
次のようになる。
4日目、投機市場の誕生
次の日の朝になって、ごま油在庫を大量に抱えたDさんとJさんは、今日も売り込み合戦をやっていました。
むちゃくちゃ寒い日で買いに来る人があまりいなかったので、ごま油の値はどんどん下がり、リッター100円に。
ごま油が売れないまま午後になったのですが、怪しげなおっさんがDさんとJさんの所にやってきました。
そのおっさんは昨日まで市場でごま油売買の値動きを眺めていたX興業のY社長だったのですが、Y社長はDさんとJさんに
「あんたら、今の何倍も売り上げ作りたくねえか?」
「あんたらのごま油を全国に売るべ!」
と
ビジネスの提案
その提案は次のようなもの。
- X興業が全国規模のオンラインごま油マーケットを始める。
- ごま油の販売者たちはそれぞれ売値を入力する。
- 買い手には買いたい値段を入力してもらう。
- 売値と買値がマッチングすれば売買成立。
- 売買成立したら売主と買主はそれぞれリッターあたり5円を仲介手数料としてX興業に支払う。(スプレッドの起源)
これまで聞いたこともない怪しげーな提案でしたが、DさんとJさんは「こんな寒い日に市場に来なくても、部屋でカチカチやるだけで日本中にごま油を売れるんなら楽勝だな!こりゃ、空いた時間で風俗にも行けるわ!」と妄想してしまい、Y社長の提案に乗ることに。
やがて月日が過ぎ、売り手も買い手も全国規模でどんどん増え、ごま油マーケットは巨大となりました。
そんなある日、Y社長はこれまでの値動きを見ていて、重大な事に気付いたのでした。
「こりゃ、ごま油の値動きだけ当てるゲーム作って、大勢の奴らに空売り・空買いさせたら、もっと手数料稼げるべ!」
・・・ごま油/JPY取引の始まりなのでした。
値が動く要因、値が止まる要因
動く要因
値が決まるときは、売り手の指値に対して成行で「買う!」といった場合と、買い手の指値に対して成行で「売る!」といった場合。逆に、売り手と買い手がそれぞれ指値を入れてる状態では、いつまでたっても約定せず、値が付かない。
つまり成行注文があるから値が決まり、相場が動く。
止まる要因
3日目のDさんとJさんの安値競争で大量注文の客が150円の指値を提示、Jさんが成行で売ったため、150円の安値で取引が終了。
4日目の安値競争で、仮に「ごま油、あるだけ全部95円で買ってやる!」(指値買)というMさんが現れるとしてて、DさんとJさんが「ラッキー!」と思ってごま油在庫を全て売ってしまうと(成行売)、その後は売り手がいなくなり、95円の安値で止まる。
つまり、大量の買いオーダー(指値)が売り(成行)を吸収してしまう。動いてるローソク足に対して、反対側から指値注文が多く控えているところで、値動きが止まる。
以上がローソク足の出来るしくみ。続けて、ターゲットと狙い方。